樹木に残された、土砂災害の痕跡と防災のヒント|カフェ・ミナプル 開催報告

今回のカフェ・ミナプルでは、北海道 胆振総合振興局 室蘭建設管理部 登別出張所の槇納 智裕さんを講師に迎え、「樹木に残された、土砂災害の痕跡と防災のヒント」をテーマにお話しいただきました。講演では、土石流やがけ崩れといった土砂災害のメカニズムに加え、樹木の年輪や生育状況から過去の災害履歴を読み解く方法が紹介されました。さらに、1926年の十勝岳噴火における災害調査の事例や、ハザードマップの活用法など、具体的な防災対策についても語られました。

目次

開催内容

テーマ 樹木に残された、土砂災害の痕跡と防災のヒント
講 師 槇納 智裕(北海道 胆振総合振興局 室蘭建設管理部 登別出張所)
聞き手 白川 勝信(登別市観光交流センターヌプㇽ 学芸員)
参加者 30名(内、オンライン18名)
おかし 富良野銘菓へそのおまんぢう(菓子司 新谷)

土砂災害の種類と樹木が記録する痕跡

槇納さんはまず、土石流、がけ崩れ、地すべりの3つの代表的な土砂災害について、動画を交えてその特徴と危険性を解説しました。続いて、こうした土砂移動に対して樹木がどのように応答し、その痕跡を残すかについて詳しく説明。土砂に埋もれた幹から新たな根(不定根)を出したり、傾いた幹を立て直そうとして曲がったりする現象(あて)を紹介し、年輪を分析することで災害の発生年代や規模を推定できることを示しました。

十勝岳の災害調査にみる教訓

次に、1926年に発生した十勝岳の噴火に伴う大規模な「火山泥流」の災害調査について報告されました。槇納さんは、被害地の森林の再生状況などを分析することで、時速50km、流れの幅760mにも及んだ泥流の痕跡を特定した経緯を説明。この調査結果が、下流の上富良野町を守るための巨大な砂防ダムの設計に不可欠な情報となったことを挙げ、過去の災害を正確に知ることが未来の防災に繋がる重要性を強調しました。

身近な自然から危険を察知するヒント

講演では、NHKの番組「ブラタモリ」の撮影に協力した際の体験談も披露されました。専門家であるタモリさんの鋭い観察眼に触れたエピソードを交えながら、私たちも身の回りの地形や自然のサインにもっと関心を持つことの大切さを伝えました。例えば、不自然に曲がった木々や、同じ年代の木ばかりで構成される林は、過去に土砂災害があった場所かもしれない、という実践的な視点が共有されました。

今日からできる防災対策

最後に、具体的な防災対策として、まずハザードマップで自宅や周辺地域の危険箇所(特に土砂災害警戒区域)を確認することの重要性が訴えられました。その上で、大雨の際には早めに避難すること、そして避難経路を事前に確認しておくことの必要性について言及がありました。 ハザードマップの見方についても、「頻度や時期までは示されていないため、危険箇所であることを常に意識しておくことが大切だ」と説明があり、講演を締めくくりました。

イベント概要

日時 2025年9月3日 18:30〜
会場 登別市観光交流センターヌプㇽ

主催 登別市観光交流センターヌプㇽ 友の会 ミナプル
協力 登別国際観光コンベンション協会

カフェ・ミナプルは、登別ときめき大学の連携講座です

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